「掛け捨て保険」は本当に「捨てて」いるのか?
私は個人的に「掛け捨て保険」という言葉があまり好きではありません。
何か「捨てている」=「損している」というイメージを持ってしまうからです。
基本的な保険の仕組み
そもそも、保険の仕組みとはどのようなものでしょうか?
保険は「相互扶助」(互いに助け合う)という考え方に基づいています。
保険に加入した人々は、互いに少しずつお金(保険料)を出し合います。
多くの人がお金を出し合えば、一人ひとりが支払う金額は少なくて済みますし、一人では負担しきれない大きな金額を集めることができます。
そして保険料を払ったうちの誰かが、入院したり、がんになったり、亡くなったりしたとき、集まったお金の一部を渡して損害を補填するわけです。
つまり、自分がお金を出してほかの人を助けることもあれば、ほかの人がお金を出して自分が助けられることもある。その対価として保険料を払うわけですね。そう考えると、保険料を払って自分が使わなかったからといって、「捨てた」訳ではなく、その間に困っている誰かの「役に立った」と考えることもできるわけです。
なぜ損したと思うのか?
それは貯蓄性の保険があるからです。
解約返戻金(かいやくへんれいきん)という言葉を聞いたことがありますか?
これは、保険を解約したときに、払い戻される(もらえる)お金のことです。
保険を解約してどうしてお金がもらえるのか?と考えるかもしれませんが、これも保険の仕組みを考えると分かります。
保険会社は、将来の支払いに備えて、加入者が支払っている保険料の中から一定の割合を責任準備金として積み立てています。
この積立金の一部が解約した場合に返戻金として払い戻されるのです。
じゃぁ、積立金がたくさんいるのはどんな保険かというと、満期(保険期間の終了)が到来したときにお金の支払いが約束されている保険(養老保険・個人年金保険)や、加入した私たちが必ず支払い対象の状態になる保険(一生涯の死亡を保障する終身保険=私たちは必ず亡くなるので)などです。
こういう保険は、積立金がたくさんあるため、解約のときに返戻金があるわけです。
このような保険は、掛けたお金の大部分、またはそれ以上のお金が返ってくる場合があるので、貯蓄としての機能を持ち合わせているわけです。
掛け捨ての保険のメリット
じゃあ、解約払戻金がない掛け捨て保険にはメリットがあるのでしょうか?
掛け捨て保険のメリットは、貯蓄部分が少なく、保障だけに特化しているため、保険料が安いことです。
また、貯蓄性の保険は、途中で解約すると返戻金が払込額を下回る場合があり、なかなか解約しづらくなります。
そのため、保険の見直しがし辛くなるという面もあります。
一方、掛け捨てタイプは、保障だけに特化しているので、貯蓄部分の損得を考える必要がなく、今より気に入った保険があればそちらに切り替えやすくなります。
じゃあ、どんな保険が掛け捨てタイプに向いているのかというと、一定期間だけ大きなリスクに備える保険や、今後保険の内容をアップデートする必要がある保険などです。
■たとえば、お子さんが成長するまでの保障を準備したい場合などは、10年間や20年間といった一定期間の死亡を保障する保険に入ることができます。この場合、一生涯の死亡を保障する貯蓄タイプの保険よりも、かなり保険料が安くなります。
■あるいは、今後状況が変わって保険の見直しが必要になる保険などです。たとえば、医療保険やがん保険などが該当するでしょう。
将来、入院の環境が変化したり、新しい治療に対応する必要が生じたりした場合、貯蓄がない保険の方が、見直しをしやすくなるでしょう。
結論として・・・
貯蓄性の保険であれ、掛け捨ての保険であれ、どっちが得でどっちが損ということはありません。
それぞれの保険の目的と、仕組みを理解して加入すればいいのです。
ただ、それぞれのタイプに得意な分野がありますから、その分野を無視してはいけません。
例えば・・・
水泳選手は、水泳で活躍するよう体作りをしています。体操では活躍できません。
同じように体操選手は体操で活躍するよう体作りをしています。水泳では活躍できません。
それぞれの作りと、活躍できる分野を見極めることが大切ですよ。
あと最後に一言。貯蓄性の保険で、貯蓄しようとしても限界があります。
お金を増やすには、きちんとお金の勉強をして、投資することも考えましょう。最近はYouTubeで役立つ動画がたくさんありますよ!
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